ミネラルについて
ミネラルって何かわかりますか?よく耳にすることはあっても意外と知らないことが多いと思います。
そんなミネラルについて解説します!
特徴・役割
ミネラルは無機質ともいい、五大栄養素の一つとされてます。
ビタミンと同様に体の機能維持に欠かせません。ビタミンとの違いは、ミネラルは体の構成成分にもなっているということです。
不足しても、逆に過剰に摂取しても問題となることがあるので、毎日の食事で意識することが大事です。
カリウムについて
特徴
カリウムは細胞の内にある細胞内液に存在し、細胞外液に存在するナトリウムとバランスを取り体の状態を維持しています。
体内で多くても少なくてもいけない大事なものです。
作用
ナトリウムとバランスを取りながら細胞を正常な状態に保ち、血圧を調整するなど体の状態を維持するのに役立っています。
とくに血圧の低下作用に注目されており、高血圧の対策としても利用されています。
また、骨密度の増加、脳卒中の予防などに関与しています。
血液中のカリウム濃度が高くなることを高カリウム血症、低くなることを低カリウム血症と言います。
下痢や嘔吐を繰り返すと低カリウム血症になるので注意が必要です。症状が重くなると不整脈により突然死することが報告されています。
また、看護師が間違えて点滴でカリウムを投与したことにより高カリウム血症になり死亡する事故がありました。
それだけ微量でも影響力のあるものなんです。
欠乏症
ほとんどの食べ物に含まれており、1日3回バランスの取れた食事をしていれば不足することは少ないです。
偏食したり、野菜を食べない方などは注意が必要です。
不足すると高血圧や様々な体の不調に影響します。
過剰症
通常の食生活では過剰症になることはありません。
腎機能が低下している方などはカリウム摂取に制限がある場合があるので注意が必要です。腎機能に問題があると尿としてカリウムを排泄できず高カリウム血症になってしまうからです。
カリウムはほとんどの食べ物に含まれていますが、野菜を煮ると煮汁にカリウムがしみ出すので煮汁を捨てるなど工夫をして摂取量を減らします。
多く含まれている食品
広く含まれていますがとくに柑橘類やバナナやメロン、アボカド、トマト、ジャガイモなどの果実や野菜に多く含まれています。
ナトリウムについて
特徴
ナトリウムは簡単に言うと「塩」です。これが体液量にとても深く関わり、様々な病気に関わってきます。
例えばナトリウムをたくさん摂取すると体液量が増え、高血圧になり脳卒中のリスクが高まります。
ぜひ知っておいてほしいミネラルです!
作用
ナトリウムは体の水分量、つまり体液量を調整しています。ナトリウムがたくさんあると体液量も増え血圧も上がり、ナトリウムが少なくなると体液量も減り血圧も下がります。
私たちは無意識のうちに体内ではナトリウムの濃度を調整していて、濃度を保つために喉が渇いて水分摂取して薄めたり、尿の量やナトリウムの排泄量を調整しているんです。
また、細胞が正常な働きし、筋肉や神経が正常に働くことにもとても深く関わっています。
病気との関係
ナトリウムの多量の摂取で血液中のナトリウム濃度が高くなると、水分摂取や尿量を減らすことで水分を増やして濃度を戻そうとします。すると体液量が増え高血圧となります。
高血圧になると脳卒中などの原因となってしまいます。
また、体液量が増えると心臓に出入りする血液量も増えます。すると心臓に負担がかかり心不全などが起こってしまいます。
他にもむくみや胃がんなど様々な病気を招くことがあります。
逆に運動などで多量の発汗があったり、下痢や嘔吐を繰り返すとナトリウムが失われてしまいます。
すると食欲不振、筋肉のけいれんや疲労感があらわれ、脱水が著明になると熱中症になってしまうことがあるので汗をかいたら水分だけでなく塩分の摂取も大切です。
摂取量目安
塩の摂取量の目安は1日9g以下とされています。日本人は12〜13g摂っていると言われているので注意しないといけないですね。また、心不全、高血圧の治療中の方は6g以下が目安らしいです。
外食は比較的塩分が多めなのでほどほどにしたいですね。また、カリウムなど血圧を下げる栄養素の摂取も重要です!
ちなみに最近では血圧に対する考え方が変わってきています。「高すぎは良くないですが、ちょっと高いくらいなら問題ない」という話はよく聞きます。心配な方はまずは専門医にご相談ください。
カルシウムについて
特徴
カルシウムは骨や歯を作っている栄養素です。体内に約1kg弱含まれていて、99%が骨にあり、残りは血液などにあります。
骨を丈夫にする以外にも生命維持に重要なたくさんの役割があります。
作用
カルシウムのほとんどは骨にあり、丈夫な骨作りに役立っています。
また、筋肉の収縮、血液凝固(血が固まること)、ホルモン分泌、タンパク質の合成などの作用や他にももっともっとたくさんの体の反応に関与しています。
濃度調整
カルシウムは沢山の重要な働きがあることを説明しました。そのカルシウムを必要な組織で利用できるよう血液のカルシウム濃度を調整しています。カルシウム濃度は低くても高くても問題となります。
ホルモンによる調整
副甲状腺ホルモンにより骨から血液に送ったり、尿によるカルシウム排泄量を調整して血液中のカルシウム濃度を高めます。
逆に甲状腺ホルモンにより血液中から骨にカルシウムを移動させ、血液中のカルシウム濃度を下げます。
ビタミンDによる調整
ビタミンDがカルシウムと関係が深いのはご存知の方も多いかと思います。
ビタミンDは腸からのカルシウム吸収を増やし、尿からの排泄量の調整や骨から移動させることで血液中のカルシウム濃度を高めます。
骨は体を支えるだけじゃなく、不足に備え常に出し入れができるカルシウムの貯蔵庫なんです。
欠乏症
日本人は摂取量が不足していると言われています。成長期の子供や妊婦の方などはとくに積極的な摂取が必要です。
体の組織は骨に貯蔵しているカルシウムを使って様々な仕事をしています。カルシウムをしっかり摂取しないと骨がどんどんもろくなってしまいます。
不足するとテタニーというけいれんなどの症状や、将来的に骨粗鬆症になってしまうことがあります。
過剰症
通常の食生活では過剰症になることは少ないですが、サプリメントの過剰摂取や、カルシウム濃度調整機能の異常でカルシウム濃度が高くなってしまうことがあります。
カルシウム濃度が高くなると腎臓に負担がかかったり、泌尿器系に結石ができやすくなったり消化管など多くの臓器に異常が起こります。
多く含まれている食品
牛乳やチーズなどの乳製品や小魚、煮干し、海藻類や小松菜などの青菜などに多く含まれています。
1日の必要量は700mgですが、多くの日本人は摂取量が不足していると言われています。今後骨粗鬆症の患者が増えるということも言われています。しっかり摂取したいですね!
また、丈夫な骨を作るには適度な運動も必要です。食事と合わせて軽い運動により骨に刺激を与えてあげることも骨粗鬆症などの予防に重要です!
リンについて
特徴
リンはカルシウムとともに骨や歯の材料となる他、細胞の構成成分であったりエネルギーを作ることにも関与しており重要な働きがたくさんあります。
不足しても過剰に摂取しても問題となります。加工食品の添加物としてリンが含まれており、リンの摂り過ぎが問題となっています。
作用
カルシウムやマグネシウムとともに骨や歯を作る成分です。
また、DNAやエネルギー源であるATPなどの構成成分としてエネルギー産生や遺伝、神経系の維持などに関わっています。
濃度調整
カルシウムの濃度調整については別記事で解説していますが、リンはカルシウムととても関係が深く、血液中のカルシウムとリンの濃度はもとても複雑に関与しています。例えばリンをたくさん摂取すると血中の濃度のバランスを取るために骨からカルシウムが血液に移動して骨が弱くなってしまうんです。
濃度はホルモンやビタミンDの作用により骨からの出し入れや、腎臓での排泄量の調整により一定を保っています。
欠乏症
リンはカルシウム質の代謝、細胞やATPなどの構成成分となったり、たくさんの役割があるため不足すると様々な症状があらわれます。
ATPの量の減少によるエネルギー産生できなくなり心臓や筋肉の異常、消化管機能低下による食欲不振などがあります。
しかし、通常の食事では不足することは少ないです。
過剰症
リンの過剰摂取により血中のリン濃度が高くなると、カルシウムと反応してリン酸カルシウムが種々の臓器に沈着します。血管が詰まったり肺に沈着すると呼吸不全がおこったり、腎臓に沈着し腎機能低下がおこるとリンの排泄が出来ずさらに問題となります。
最近ではリンの過剰摂取の方が多いです。原因の一つにリンを多く含む食品添加物が加工食品や清涼飲料水などに使用されていることです。注意したいですね。
また、カルシウムとの関係が深いことは説明しましたが、日本人はカルシウム摂取量が不足しています。カルシウム摂取量が低くリンの摂取が過剰の食事を続けると骨が弱くなると言われています。丈夫な骨のためにリンを摂りすぎないということも大事なんです。
多く含まれている食品
タンパク質にはリンが多く含まれているため、タンパク質が多い食品を摂るとリンも多く摂取できます。
イワシなど魚類、肉類、乳製品、大豆などが多いです。
外食や加工食品に偏りがちなだとリンの摂取が多くなりがちですのでご注意ください。
鉄(Fe)について
特徴
鉄は3分の2が赤血球を作るヘモグロビンの成分になっていて、残りは肝臓などで貯蔵されています。
ヘモグロビンは酸素を体中に運ぶ重要な働きがあり、鉄が不足すると貧血になります。
作用
ヘモグロビンとして呼吸により取り込んだ酸素と結びつき、酸素を全身に運びます。
筋肉に存在するミオグロビンにも含まれ、筋肉に酸素を貯蔵します。
また、細胞の働きを維持しています。
欠乏症
鉄が不足するとヘモグロビンが作られず、酸素を運ぶことができなくなるため貧血になります。
貧血になると酸素を全身に運べないので体は酸素不足になります。すると頭痛がしたり疲れやすさを感じやすくなります。
また、貧血だと心臓は酸素を送ろうと頑張り、脈が早くなったり動悸、息切れがなどがあらわれます。
女性は月経による出血で鉄が失われる分、男性より不足しがちです。
過剰症
普通の食生活では過剰症になることはありません。サプリメントなどを摂取している方は注意が必要です。
過剰になると肝障害や関節痛など様々な症状があらわれます。
多く含まれている食品
動物性食品に含まれる鉄と植物性食品に含まれる鉄は種類が違いますが、どちらもバランスの良い食事をすることで摂ることができます。
肉類、レバー、緑黄色野菜、穀類、鶏卵、乳製品などに多く含まれています。
またビタミンCやクエン酸、動物性タンパク質と鉄を多く含む植物性食品を合わせて摂ると鉄の吸収を促進させることができます。
逆に穀物のフィチン酸、茶のタンニン、ほうれん草やココアのシュウ酸などは吸収が妨害されるので注意してください。
特に女性は不足しがちなので意識してしっかり摂るようにしましょう!
マグネシウム(Mg)について
特徴
マグネシウムは骨と筋肉に大部分が含まれており、カルシウムやリンと一緒に骨を作っています。
他にも役割はたくさんあります。
作用
骨の機能維持、糖質、タンパク質、脂質の代謝、エネルギー源であるATPの作用、神経や血管の働きなど様々なことに関与しています。
欠乏症
通常の食生活では欠乏症になることはありません。が、日本人はもう少し摂取した方が良さそうです
欠乏すると骨がもろくなったり、糖尿病など生活習慣病のリスクが高まる可能性があります。
過剰症
通常の食生活では過剰症になることはありません。
サプリメントなどを摂取している方は注意が必要です。
過剰に摂取すると下痢になったり、呼吸不全や不整脈を起こして死亡するリスクもあるそうです。
多く含まれている食品
アーモンドなどの種実類、海藻類、魚介類、野菜、豆類、穀物など多くの食品に含まれています。
亜鉛(Zn)について
特徴
ほとんどは骨や筋肉に存在しています。
亜鉛は欠乏症が起こり安く、味覚障害が起こることで知られています。
作用
多くの酵素に含まれていてDNAの合成や代謝などに関わっています。
細胞の生まれ変わりが活発なところに多くあり、口の中の味を感じる「味らい」は代謝が活発なため亜鉛の影響を受けやすく、亜鉛は味覚と関係があると考えられています。
また酸化ストレスから体を守る抗酸化作用で老化防止などに関わっています。
欠乏症
亜鉛は摂取しても腸からの吸収率が悪いため不足していることがあります。また病気になると代謝が盛んになるため亜鉛が多く使われることにより不足することがあります。
DNA合成や様々な代謝に関わるため、代謝が盛んな場所で欠乏症があらわれます。
代謝が盛んな口の中に影響が出て味覚障害が起こります。味がなくなる、味がおかしいなどの症状があらわれます。
他にも皮膚や粘膜、骨や神経系、嗅覚などの感覚の障害などがあらわれます。
免疫力が低下したり、傷の治りが遅くなることもあります。
子供やダイエット中の方、高齢者の方は不足しがちなので注意が必要です。
過剰症
吸収率が低いため通常の食事では過剰症になることはありませんが、サプリメントなどを摂取している方はご注意ください。
嘔吐や貧血などの症状が出ることがあります。
多く含まれている食品
もっとも有名なのはカキです。貝類には多く含まれています。
他にはうなぎ、牛肉やレバー、藻類や鶏卵に多く含まれています。
銅(Cu)について
特徴
銅は体の様々な酵素に含まれていて種々の機能を発揮します。
また、赤血球のヘモグロビンを作ることにも関与しており、不足すると貧血となることがあります。
作用
体の中にたくさんある酵素に含まれていて、体内で酵素によりおこなわれる種々の化学反応に関与しています。
また、赤血球のヘモグロビンに鉄を結びつける作用があり、鉄が十分にあっても銅が不足すると赤血球を作れず貧血になることがあります。
欠乏症
酸素を運搬する赤血球のヘモグロビンを作る作用があるため、不足するとヘモグロビンが作れず酸素を運搬できないので貧血になることがあります。
通常の食生活では不足することはないですが、下痢が続く場合や遺伝的に吸収障害がある方は注意が必要です。
過剰症
通常の食生活では過剰症になることはないですが、サプリメントなどを摂取している方は注意が必要です。
過剰に摂取すると肝障害などがあるそうです。
多く含まれている食品
ナッツ、アーモンド、ココア、大豆、カキなどの魚介類、肉類やレバー、などに多く含まれています。
マンガンについて
特徴
マンガンはエネルギーを作るミトコンドリアの多い組織に存在し、様々な酵素を活性化させる栄養素です。
作用
ミトコンドリアの様々な酵素、糖質や脂質の代謝にも関与する酵素、抗酸化作用のある酵素などの構成成分となり代謝や成長など様々なことに関与します。
欠乏症
必要量が微量で多くの食品に含まれているので通常の食生活で不足することはありません。
不足すると体重減少、皮膚炎、嘔吐などの症状が出るそうです。
過剰症
通常の食生活では過剰症になることはありません。
過剰症として肝障害や神経障害があります。
多く含まれている食品
植物性の食品に多く穀類、豆類、ナッツ、茶葉に多く含まれています。
ヨウ素(ヨード)について
特徴
ほとんどが甲状腺に存在し甲状腺ホルモンの材料となります。甲状腺ホルモンを作るにはセレンが含まれる酵素が必要なため、セレンの欠乏症でも甲状腺の機能異常が見られます。
また、ヨウ素は不足しても逆に過剰に摂取しても甲状腺腫が見られることがあります。
作用
代謝が亢進し成長や神経活動が活発になります。基礎代謝が上昇、心拍数の増加などがあります。
欠乏症
不足すると甲状腺が腫れる甲状腺腫が見られ、甲状腺ホルモン分泌に異常が出ます。
また、不妊や胎児の異常などの原因となることがあります。特に妊婦の方は胎児に影響が出てしまうので注意が必要です。
海藻類を食べる日本人は通常の食生活では不足することはありません。
過剰症
過剰に摂取しても甲状腺腫が見られます。甲状腺の機能が低下しホルモンの分泌に影響があらわれます。
多く含まれている食品
昆布やワカメ、ノリなど海藻類に多く含まれています。
セレンについて
作用
種々の酵素に含まれていて、活性酸素を除去する抗酸化作用、甲状腺ホルモン産生に関与します。
欠乏症
土壌にセレンが少ない地域で欠乏症が見られます。日本は土壌にセレンが多く含まれているため不足することはないと考えられています。
不足すると甲状腺機能異常、心臓病、筋肉萎縮、免疫低下、不妊症などの症状が見られることがあります。
過剰症
摂りすぎると悪心、吐き気や下痢、頭痛、免疫低下、食欲不振などがあらわれます。
多く含まれている食品
セレンはその食品が育てられた土壌のセレン含有量の影響を受けます。
日本は土壌にセレンが多く含まれているので、野菜やこれを食べる家畜にもセレンが多く含まれています。
他には海産物にも多く含まれています。